医療・治安・教育…私がクアラルンプールを選んだ理由と、フィリピンで「諦めた」日本の常識

デュアルライフ計画

家族の安全に「価格」はつけられない

前回の記事で、フィリピンでの生活は「物価安」の幻想が崩れ、日本より高額な生活費が必要になったというリアルをお話ししました。しかし、本当に恐ろしかったのは、お金では買えない「家族の安全と安心」が根底から揺らいだ経験です。

子連れで海外移住を目指す親御さんなら、誰もが「親の都合で子どもを振り回していないか不安」という葛藤を抱えているはず。私たちもそうでした。フィリピンでの約1年間は、その不安が具体的な危機として目の前に現れた期間でした。

本記事では、フィリピンで経験した医療・教育・治安の生々しい現実を公開します。そして、その挫折の教訓を糧に、「家族の幸福のために譲れないラインを明確にした結果、次の目的地としてクアラルンプール(KL)を選んだ理由を語ります。

1. 目の前で起きた危機:「子どもの入院事件」と医療への不安

私たち家族の「海外 医療の質」への危機感を突きつけたのは、相次いで起きた子どもの危機でした。

 ① 長男の怪我:学校で顔面3針、太もも5針

まず長男が学校でクラスの問題児に扉に押しつけられ、ガラスが割れるという事件で負傷しました。緊急で大学病院へ搬送されましたが、処置を待つまでに8時間。抗生剤を服用し、数日後に40度の高熱と全身発疹で約1ヶ月休学することになりました。

② 次男の入院:命に関わるオペレーションミス

そして、その直後です。次男が40度の高熱と明らかな脱水症状で緊急入院。私自身が医療知識を持っていたため、英語でドクターと相談しながら治療を進められましたが、現場のオペレーションの悪さには心底疲れ果てました。

点滴待ちに4時間。そして、点滴に慣れていないのか、次男の両腕は針刺しに6回も失敗し、傷だらけに。

しかし、最も恐怖を感じたのは、夜間の出来事です。点滴交換に来たスタッフが、ルートに明らかにエアー(空気)が溜まっているにもかかわらず、エアー抜きを忘れて開栓しようとしたのです。私は激怒し、指摘しましたが、看護師は「少しぐらいのエアーは大丈夫」という反応。日本では絶対にあってはならないことです。

この瞬間、「ここでは、命の安全を完全に任せられない」と悟りました。翌朝、最低限の補液がされたと判断し、即座に経口薬に切り替えて退院を判断。この事件は、KLを選んだ決定的な理由となりました。安全、衛生、そして命に関わるオペレーションの安定性に、お金を払う価値は絶対にあると確信したのです。

2. 教育の選択肢の限界:「お金では買えない」質の差

長男と次男が通ったのは、26カ国の生徒が集まるプライベートスクールでした。しかし、ここでも「質の安定性」という点で限界を感じました。

「なんちゃって」カリキュラムの横行

 IT教育に力を入れているという説明でしたが、息子はPCルームに一度も入ったことがない。数学は最低レベルで、ひっ算を知らない子が続出。我が子が一瞬で学年トップになるほど、カリキュラムのレベルにばらつきがありました。

コミュニティの壁と英語学習

生徒に韓国人が多く、韓国人コミュニティ内では英語を使おうとしないため、英語力向上の環境としては悪影響でした。

教師の質の不安定さ

 先生は皆20代の若手が多く、質の差が激しい。若くてもしっかりした先生もいれば、責任感のない先生も。

もちろん、良い面もありました。長男は怪我をきっかけにフィリピン人生徒に守られるようになり、サッカーでは「キャプテン翼君」扱いされるほど活躍し、人間関係を築けました。しかし、教育移住を真剣に考える親としては、「運任せではない、安定した質の教育」が必要だと痛感しました。

この経験から、インターナショナルスクール 選択理由は「世界標準のカリキュラム」「国際色豊かな多様性」「安定した教師の質と設備」に定まりました。教育移住 クアラルンプール 理由は、まさにKLのISが持つ教育の選択肢の多さと質の安定性に集約されているのです。

3. 治安と「諦めた日本の常識」のコスト

安全なエリアで生活していても、エリア外では銃声が聞こえ、道路には野良犬、野良猫、野良鶏、野良牛が闊歩していました。狂犬病やアレルギーの恐怖は常にあり、夜間外出は絶対にしない、ローカルエリアはタクシーでも通らない、とルールを決める必要がありました。

そして、安全以上に私を疲弊させたのが、「諦めた日本の常識」です。

時間にルーズ

予定は確実に遅れる。予約の意味がない。計画するのが苦手?計算は確実に苦手。

品質の不安定さ

通販は壊れたものが数週間遅れて届く。学校の体操服は9ヶ月後に届き、結局寄付。

ビジネスの信用

 悪気はないが、何度も言わないと動かない。遅れてきて開始しても時間になったら途中で帰る。極めつけは、シッターが自宅のお米を盗んで帰るという出来事。

これらはすべて「物価安」の裏返しです。日本の「時間厳守」「高品質」「ビジネスの信用」といった当たり前は、高コストで維持されている贅沢品だと悟りました。

その点、KLの治安は、フィリピンに比べると遥かに安定し、特にモントキアラなどの日本人エリアでは安心して生活できます。何より「野良犬がいない」というだけで、子連れの日常の快適度が格段に上がると感じました。

4. KLを選んだ「家族のための」3つの決断理由

フィリピンでの挫折から、私たちは「家族の幸福のために譲れないライン」を明確にしました。

教育移住 クアラルンプール 理由は、この3つの譲れないラインを、経済合理性生活の快適さの両面で最も満たす可能性が高いと、現時点では判断しているからです。

  1. 命の安全と医療の安定性(治安・医療)
    フィリピンでの危機を経験したからこそ、この優先順位は絶対です。KLはアジアの中でも医療ツーリズムが盛んであり、オペレーションが安定した質の高い私立病院が豊富にあるという情報を得ています。命に関わる不安が少ない環境を、まずは最優先で確保したいという強い希望的観測に基づいています。
  2. 教育の質の安定性と多様性(教育)
    運任せではない、安定した教育環境を子どもたちに与えたい。KLは、インターナショナルスクールの選択肢がアジアでトップクラスに多く、世界標準のカリキュラムと質の高い教師陣を、比較検討して選べる環境があります。「質の安定」を追求できるKLこそが、私たちにとっての最適解だと信じています。
  3. 生活の快適さ(「日本の常識」の再現性)
    親が疲弊せず、子どもとの時間に集中できる心の余裕が必要です。KLは日本と遜色ないインフラやショッピング環境があり、フィリピンで諦めた「時間厳守」「品質の安定」といった日本の常識に近いものが期待できます。これにより、生活の「ノイズ」を減らすことができると予測しています。

失敗は最高の教訓です。フィリピンでの経験は、私たちに「なぜデュアルライフを目指すのか」という原点を再確認させてくれました。それは、親の都合ではなく、家族全員が安全に、最高の環境で成長していくためです。

子どもの怪我や入院という最大の危機を乗り越え、私たちは「親の不安を解消し、子どもたちの未来に投資できる可能性を秘めた場所」としてKLを選択しました。この選択が正しかったかどうかは、住んでみなければわかりません。しかし、フィリピンでの挫折を乗り越えたこの決断こそ、デュアルライフの本当の価値だと信じています。

コメント